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日々の日記。ひっそりと静かに。

A CHAIN OF WORKS #2・カニグズバーグ『ジョコンダ夫人の肖像』

【rewrite: 2014年に書いたもの。続き】周知のことだろうが、日本人のいうところのレオナルド・ダ・ヴィンチの名画『モナリザ』はフランス、イタリアでは『マダム・ジョコンダ』と呼ばれる。「ジョコンダさんの奥さん」ということだ。『モナリザ』のモデルに…

A CHAIN OF WORKS #1・ダ・ヴィンチ『白貂を抱く貴婦人』

【rewrite : 2014年に書いたもの】2001年10月のある日。京都市立美術館。私はおそらく自分の、27歳の誕生日の記念として、ひとり京都に絵を見にでかけたのだった。おそらく平日だったのだろう。人ごみは想像ほどでもなく、並べられた絵画を見る一筋の人の列…

Shall we watch this TV-show? 『天国と地獄 サイコな2人』

TBSドラマ『天国と地獄 サイコな2人』を毎週Tverで観ている。 今クール観てるのはこのドラマだけだ。 理由はわからないが唐突に惹かれるドラマというのが何クールかにひとつくらいあって、それはだいたい事前告知のCMでわかる。 種類は違っても 「あ、これは…

ただいまのないただいま

正解なんて知らない世界でひとりで生きてる。みんな。たしかに守られていたりフォーマルの塊にみえたり揺らぎない自信とともにあるようにみえても、だとしたらそれは答えのない世界に住んでいることを知らないか知らないように見えるだけ。若く美しくお金や…

手のひらのなかの空間

これから先、私はどんなふうになっていくんだろう。 「なりたい姿はわかる」 なんて友人に書いたけどほんとは全然わかってない。 売り言葉に買い言葉、だ。 安易に逃げた言葉。要は。 失っていくものと得ていくもの。 それを見守る自分自身。 人との別れは、…

クリスマス・ノート ※暗いので注意

クリスマスから新年明けまでの日々は毎年、真っ暗で灯ひとつないだだっ広い土地に冷たい風が舞い、凍える空気のなかにひとり立っていた。何も見えない。誰もいない。そんな時間が一週間とも十日ともなく続く。語りかける人など誰もいない。聞こえる声などひ…

走り書き ただ生きているだけで

若い人が自ら命を落とすのはほんとうにかなしい。***いまごろの年齢になってようやく、ただ生きていることだけですごいことなんだと、平たい一般論のようなことを実感する。平たい一般論は嫌いだが最近はつとにそう思う。自分以外の人にはいつも思ってい…

まだ、そばにいて。 犬のこと

愛犬が他界して今日で四十九日になる。しばらく前からこの日が怖かった。一般的に四十九日を機に、命は空へ完全に旅立つという。仏教からくるものか神道からくるものか知らないが、昨年から周囲でさまざまな人を亡くして、その四十九日をその都度見送ってき…

早朝の流星 130726

今朝、いつものとおり朝靄の中に自転車を走らせていた。角を曲がり、ほんのすこし道が開けると視界のなかで何かが動くのを感じた。見上げると、白く霞んだ明け方の空に、小さな光が西から東へすっと横切っていった。それが流れ星だと認識するのにすこし時間…

短文 画面越しの恋人

ときどきかつての恋人をインターネットの画像などでみかけることがある。ストーカーではない。わざわざ探しているわけではない。けれどネット内で自分の職業やそれ界隈のことを調べたりしているとおのずと、ときどき目にするのだ。書くまでもないがそれが誰…

偏愛音楽 #2 外出自粛編(特に関係ない)

※ 偏愛音楽 #1 https://tokomug.hatenablog.jp/entry/2019/10/06/001022外出自粛のなか、YouTubeばっかりみてるからそのなかからただただ好きな歌を(自粛じゃなくても引きこもり気味です)【星野源 SNOW MEN 】https://youtu.be/cBIW48e6GZE誰かにだけわか…

春の雨の夜のうた  Mr.Children 「365日」

冬から春に変わる季節の雨はときに冷たく、ときに生温く、三寒四温の言葉のとおり気まぐれに思う。けれどその気まぐれをひとつあけたあとには小さく春に、たしかに近づいていて不思議にすこし安堵する。昨夜から知らぬ間に降りはじめていた雨は思いのほか強…

きょうのいちにち 長い喪の作業

朝 7時前に起きて犬の散歩に行く。犬は今年の夏で15歳のおじいちゃんで、昨年から後ろ足が悪い。前にも後ろにもハーネスをつけて散歩する。足が悪いのに散歩が好きで、小一時間歩く。私自身が巨大な腰ヘルニアで手術を受けてからようやく2ヶ月が経つ。完治は…

祖母の死 大正11年生

2019年11月半ばの早朝に祖母が旅立った。母から、祖母の死を告げる電話が鳴ったのは朝3時だった。3年ほど前から、自宅と病院と施設へのショートステイをサイクルのように繰り返しながら過ごしていた祖母は、2年前に完全に施設に入所した。血液が作れない疾…

拝啓 木村拓哉さま

木村拓哉さんとさほど年齢は変わらない。木村拓哉さんをキムタクと呼ぶ世代に育った。木村拓哉さんは私たちの世代のあらゆる意味でのアイコンで、たぶんこれこらも死ぬまでそうなんだろう。当時、「木村拓哉さんを『かっこいい』という女性とそうでない女性…

エール 空と芝生のあいだ

縁あって姪(22歳になっていた)甥(16歳になっていた)と深く接しながら暮らしている。甥は小学生の頃からサッカーを始めた。高校生になったいま、サッカーのためだけに高校に通う(ような)日々を送っている。中学生までは彼なりにそこそこ通用したつもり…

2019(ニーゼロイチキュー)

なんだか知らないが泣きたくなる時がある。いまがそうだ。そのとき、いつも思うイメージは「立ち止まることも許されない」「ほんとうは手放しで泣きたい」みたいな感じ。1月に、いま思えばヘルニアの始まりがあった。一般的に人が「痛いから病院いこ」くらい…

入院記(退院します!) 続ヘルニア記

入院生活も明日までになった。長かった。淡々と、ちょっと流れを書いてみる。12月某日 手術の日早朝の激痛により病院へ。検査の結果「巨大ヘルニア」と判明。ヘルニアがすでに右足と膀胱の神経を圧迫しつつあるため緊急手術となる。※ 通常、排尿に支障が現れ…

雑談の効用 続ヘルニア記

「巨大ヘルニア」というのがジョーダンや平たい形容詞としてのみではなく、整形外科系のオペ室や医師をはじめとしたコメディカル間で使われる準標準語(通語)だというのが笑える。だとしたら、今回の私のヘルニアは『整形外科 通語辞典』の巨大ヘルニアの項…

ヘルニア、オペ後の個室から。

昨日、椎間板ヘルニアの緊急手術を受けた。私はどうも自分の痛みを後回しにしがちなようだ。ほんとうは今年の一月から痛かったのだ。今日は12月です。昨日、朝起きたとき腰に激しい痛みを感じて近所の整形外科ドクターを訪ねた。そのとき私は、誇張でもなん…

This is the CHURCH

世の中には山ほど多くの職業がありなすべきことがあるのに、どうしてこの人は、そして私は、このことを仕事としてるんだろう、と思う瞬間があって。 たとえば芸人さんとか、格闘家とか、芸術家とか。 私は格闘技を観たことがないしなんの知識のもないんだけ…

偏愛音楽 #1 洋楽、雑多バージョン

この頃、自分のスマホ内からよく流れ出る音楽をば。 本を読むことと音楽を聴くこととを両方できる人に憧れる。 私は本ばかりと会話してきたので、大人になるまで音楽の楽しさを知らなかった。 ただ音楽のもつ力だけはなんとなくうっすらと感じていたから、育…

クロニクル

「それが大人になるということ」と、とある人から言葉をかけられた。大人というのは自分を労い、ときに叱咤し、励まし温めケアする。そういう行為(もしくは心の持ち方かもしれない)を自分に対して向けられることが大人だと。ためらわず、迷わず。いや、た…

憧憬

現実と非現実という区別が昔からキライで、そういう言葉を耳にするたびに「せめて日常と非日常と言って」と心のなかで訂正していた。 日常があわただしくなったのは年をとったからなのか、単にいまがそういう時期だということなのか。よくわからないが毎日、…

肺炎の2019(feat. 夏の日の1993)(嘘。肺炎はほんとう)

はじめて肺炎になった。40代なかば。 気力体力の限界を超えていることはわかっていた。そう指摘してくれる友もいた。にもかかわらず、家のことにも仕事にも忙殺されていた結果、もっとも忙しい時期に肺炎になった。反省。 しかし肺炎というのはしんどい。咳…

目を閉じてみる夢への苦言

最近ときどき、恋人のことを夢にみる。 ともにいた二十数年のあいだ、恋人が夢に出てきたことは片手ほどもない。いくらなんでも少なくないか? でも本当。 離れてのちも、夢に出てきたことはしばらくなかった。 3ヶ月ほどあったある日、朝目覚めてふと「あぁ…

村上春樹と町田康(と甥っ子16歳)

中学2年生のときに『ノルウェイの森』が大ヒットし、以後過去の作品を遡る形で村上春樹に惚れて以来、ほかに好きな作家が見当たらなかった。 不幸なことだ。 世にハルキストもしくは村上主義者(なんかいよいよ怪しい)といわれる人のなかには私と同じ不幸…

腕のなかの涙と、非模範的介護モノローグ

最近、祖母に続いて母の介護までが始まりつつある。 母は72歳。 72という数字が大きいのか小さいのかよくわからないけど、人に関わる仕事を長くしてきて「元気でぴんぴんしている人」と「そうでない人」の差にものすごく開きがあるのが70代だと感じている。 …

ヒールの高さは今日も

メーガン妃が大好きだ。 アメリカのテレビドラマ『SUITS 』にどハマりするよりも先に、メーガン妃に一目惚れした。 人気ドラマの女優さんだと知ったのはサセックス公爵夫人となったあとのことだ。 一日の終わりにInstagramのサーチ・ラインでメーガン妃に♡を…

意思と選択とサンキャッチャー 大人の階段途上日記

あるとき、あることをしたいと思った。 それなりに準備や周囲の理解が必要な事柄だったから、該当する人々に問いかけたり確認をしたりしてみたりした。 自分がそれをほんとうに「やりたいのか」を確かめる意味合いもあったと思う。 帰ってきた答えはそれぞれ…